次の目的地まで行くために、3週間働いたウガンダの孤児院から出て行く事になった。
子供達と会えなくなるのが辛いが、旅を続けないといけない。
子供達に出発する事を伝えた。
「明後日、ここを出る事にした。みんな、3週間本当にありがとな。」
すると、さっきまで笑顔だった子供達の顔がこわばり、
泣き顔になりながらみんなが騒いだ。
「なんで行っちゃうの?」
「アンクル、もっと居て!」
「行かないで!アンクル!」
子供達が必死になって俺が行くのを止めようとするのを見ていると、胸が熱くなる。
ゴメン。ゴメンな。みんな。
でも、行かなきゃ。また絶対帰ってくるから。
人間が幸せだと感じる時の1つは、人に必要とされている時だと誰かが言っていた。
今、心に感じている感情は幸せなのだろうか。
出発する前日に、彼等はみんなで歌を歌ってくれた。
♪「僕達は一緒に働いた日々をずっと忘れない!愛してるよ。アンクルShinji。」
そんな内容の歌詞だった。
普段、言葉にしてしまうと何か陳腐になってしまう「愛している」と言う言葉を、気持ちを込めて歌に乗せて届けてくれた。
あー。
あぶねー。
あやうく涙が出るところだったぜ。
夜は電気がないのでロウソクで過ごさないといけないが、
子供にとって暗闇はもの凄い怖いものだ。
懐中電灯も無いので、「アンクル、懐中電灯貸して!」と良く言いにくる。
一度だけ、辺りが見渡せなくぐらい真っ暗になった時、
おどおどしながら部屋に戻ろうとする子供に「わ!」と言って驚かせた事がある。
その子は50cmほど飛び上がって「キャー!」と叫んだ。
あまりに凄い驚き方をするので、ちょっと悪い事をしたなと反省した。
就寝時間にロウソクを消した後、
父親と母親がいない子供達は、真っ暗闇の中で布団に潜り込む。
1人1人に「おやすみ」と言いながら頭をなでてやると、
彼等は「おやすみ」と笑顔で日本語で答えて安心して眠る。
「おやすみ」という言葉の意味を初めて理解した気がした。