2007-6 月-23 13:55:28
結構、危険 ニカラグア <ニカラグア、グラナダ>
ニカラグアに来て2日目。
早く起きてグラナダの通りや公園を散歩し、昼頃から近くのマサヤという街に向かった。
マサヤにはニカラグアで作られる民芸品がほとんど揃っていると聞いたからだ。
マサヤに到着して、民芸品が売られているマーケットを歩いてみる。
うーん。グァテマラに比べて高い。しかも、何故かグァテマラのバッグや服が売られている。
一通り見た後に、腹が減ったのでレストランを探したが、どこにも見当たらない。
レストランはニカラグアの人には必要ないのだろうか。。。
少しがっかりしながら、グラナダへ戻ることにした。
マサヤの中心部から少し離れたバスターミナルに向かうと、広い場所にチキンバスが所狭しと並んでいた。
グァテマラでもそうだったが、地元の人が乗るチキンバスには外人はあまり乗らない。
この時も、地元の人以外で乗っている外人などは自分ぐらいだった。
雑然と並ぶバスの中からグラナダ行きのバスを探し、人混みをかき分けてバスに乗り込んだ。
狭い通路を通ろうとすると、前のほうでおっさんが座る場所を探しているので通れない。
なんとかおっさんの横を通過して後ろの方の席に座ろうとすると、今度は違うおっさんがバスを降りようとして通れない。
前のおっさんと後ろのおっさんで挟み撃ちにあってしまった。
うだるように暑いニカラグアで、太ったおっさん2人と揉み合っているのは相当キツい。
すると前のおっさんが器用に指でポケットをひっぱり、財布を抜こうとしていた。
すかさず大きな声で「Hey! What are you doing?! bitch!」と言って、おっさんを突き飛ばすと、そそくさと逃げて行く。
スペイン語の国で英語で叫んでもわかんないだろうが、突然だったので英語で叫んでしまった。
後ろのおっさんもそそくさと逃げて行った。良く数えてみると、逃げて行った人数は2人どころじゃない。
4人ぐらいいる。4人で連携し、意図的に挟み撃ちにして、財布を抜こうとしていたのだ。
危ない。危ない。ニカラグア。
後で地元の人に聞くと、「刃渡りが30センチぐらいある刃物を持った人とかもいるから気をつけてね!」と言われる。
うそーん。そういう事は早く言ってくれなきゃ。
突き飛ばしたスリのおっさんがそそくさと逃げてくれて良かったよ。
なんとかグラナダまで戻り、ホテルまでの道を歩いていると、今度は痩せこけた男が英語の練習がしたいから話をしてくれないかと言ってきた。
ニカラグアに来てからあまり良い目にあってないので、警戒しながら話を聞いてみる。
すると、英語の練習がしたいはずだったが、だんだん話が変わってきた。
「僕は今、仕事が無くて2日ぐらい食べていないんだ。
でも、公園でたむろしている奴らみたいにただお金をもらおうとするのは間違っていると思う。僕は働いてお金を稼ぐんだ。」と言う。
少し関心し、彼の話に付き合った。
「僕に20分くれないか。グラナダの教会を案内するよ。そしたら僕に少しでいいからお金をくれないか?お金じゃなくてもいい。ご飯でもいいよ。」
スペイン語しか話せないニカラグア人が多い中、これぐらい英語が話せれば職もあるんじゃないかと思うが、そう簡単に働く事もできないのだろう。
じゃぁ、1ドルでいいかい?と聞くと嬉しそうに頷いた。
通りを歩きながら、「僕はこんな身なりをしているけど、人はお金じゃない。心だと思うんだ。」と言う。
良い奴だなと思いながら英語とスペイン語で会話を楽しんでいた。
グラナダの中心部にある教会に着き、教会の説明をしてくれるのかと思ったら、ずっと自分は貧乏だという事を永遠と語り続けた。
「君は僕が1週間いくらで暮らしてると思う?120コルドバ(7ドル弱)だよ!僕は小さな子供がいるんだ。2ドルぐらいくれたっていいじゃないか!」
教会の事を聞いても、それには答えずに自分がどれだけ大変かを一生懸命話し続けている。
悲しくなった。彼は働いてお金を稼ぐ事を誇りにしていたのに、教会や街の説明もしないでお金をくれと言い出したのだ。
「ちょっと待ってくれ。君は働いてお金を稼ぐんだろ?教会の説明も何もしないで、お金をくれって言うんじゃ公園に居る奴らと同じじゃないか。教会の説明をしてくれたら喜んでお金は払うよ。でも、働いていない君にはお金を払う事は出来ない。」と英語とつたないスペイン語を混ぜて説明した。
彼は悲しい顔をして硬直した。「君が言ってる事は理解したよ。今の僕は馬鹿みたいだ。」がっかりと肩を落とし、じっと床を見つめている。
「君に1ドルを払う事を約束したから、1ドルは払うよ。でも君は働かく事を誇りにしてたんだろ?しっかり働き続けてくれ。」
彼の手の中に1ドルを入れ、しっかりと彼の両手を握って願うように言った。1ドルあればたくさんの果物が買えるはずだ。
教会の中で立ち尽くす彼を後にし、ホテルに戻った。彼が一生懸命働いて、お金を稼いでくれる事を願うばかりだ。
ニカラグアに着いてから、いろいろな方法でお金をゲットしようとする奴らにばかり会う。旅をしている限り、お金を持っている側の宿命なのだと思う。たぶん、みんな生きる事で精一杯なのだろう。
しかし何故かニカラグアに居る事が悲しくなった。