2008-5 月-10 23:28:53
多すぎる。<ヨルダン、ペトラ>
ペトラの中に住むベッドウィーンがいる。
彼等は民芸品を売ったり、ラクダやロバを「タクシー」と呼んで、ツアリストを乗せたりして商売をしている。
夕暮れ時、ツアリスト達もほとんどいなくなったペトラを歩いていると、
「こっちに来てお茶でも飲みなよ。」
と、若いベッドウィーン達に誘われた。
彼等の格好はまるでパイレーツオブカリビアンのジャック・スパロウだ。
バンダナを頭に巻き、長い髪は巻き毛で、目の下にアイラインを入れている。
聞いて見ると、アイラインは目を保護するために入れているらしい。
「お前らがサングラスをするのと同じで、俺らはアイラインを入れるんだよ。」
と若いベッドウィーンは話してくれた。そういえば野球選手も同じような事をする。
アイラインは1週間は消えないという。このアイラインをしないと、太陽の光が強過ぎて目が焼かれてしまうらしい。
夕暮れ時のペトラ遺跡を眺め、若いベッドウィーン達とチャイを飲みながら語った。
「ペトラってこんなに気持ちいい所だとは知らなかったよ。」と言うと、
「ああ。いいだろ。俺らは学校も行ってないけど、この場所でツアリストを相手に英語、フランス語、スペイン語を覚えた。自分でしっかり金も稼げる。俺らの兄弟達はみんなそうやって大人になっていくんだ。学校なんて必要ない。人生が学校だ。」
人生が学校。モロッコで会ったアブラハムも同じ事を言っていた。
「兄弟達って何人ぐらいいるの?」と聞くと、
「シスターが22人、ブラザーが42人。」
「What!?」
「Yes, I have 64 brothers & sisters」
聞いてみると、一夫多妻制のイスラム教なので何人かお母さんが居るらしい。
そして「俺のオヤジはラクダのメスを200匹持っている」と自慢していた。
また「ラクダの搾りたてのミルクはベッドウィーンのバイアグラって呼ばれてるんだぜ。でも、搾りたてじゃないとダメだ。1度でも熱したり、時間を置いたりしたら効果がなくなる。」と教えてくれた。
滋養強壮効果が凄いらしい。
なるほど、だからラクダのメスをたくさん持っている事が子供を沢山産む事に繋がるのか。
帰り際、チャイのお金を払おうとすると、
「いや、いいんだよ。お客さんなんだから。フリー、フリー。」と言ってくれた。
久しぶりにビジネス抜きのもてなしが嬉しい。エジプト人だったら確実に請求されていた所だ。
「また、どこかで会おうぜ。」と言う若いベッドウィーンは民族の誇りと自信に溢れていた。
2008-5 月- 5 21:44:00
ヨルダンへ <ヨルダン、ペトラ>
Copyright © 2008 Shinji Murakoshi, All Rights Reserved.