2008-6 月-11 21:16:12

格差はどこにでもある。 <UAE、ドバイ>

UAEのドバイに到着。

ドバイの発展具合は噂では聞いていたが、
実際に見てみると、街の建設ラッシュは今までみた都市の中で一番凄い。
 
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ドバイでは3つの島を海に作っている。
そんなに大きくないだろうと思っていたが、超巨大。
海岸からは全体像が見渡せないので、どのぐらい大きいか想像もできない。
宇宙からも見えるぐらい巨大らしい。

3つの島のビーチラインを合わせると全部で540kmにも及び、東京と大阪間の400kmよりさらに140kmも長い事になる。
1つの島に4000件以上のホテルやショップが入り、居住スペースもある。

また、ドバイには世界一高いビルが建設中だが、遠くから見ると人間が作ったものとは思えないほど高い。
建設中のビルは現在の高さで500mを越え、予定では900mまで行くかもしれないらしい。

そんな建設ラッシュのドバイの人口の8割は外国人だ。
外人というと欧米人を思い浮かべそうだが、ドバイのオールドタウンはインド人とパキスタン人が溢れ、アフリカンが居る地域もある。この街には白人はおろか、チャイニーズさえほとんどいない。

ドバイは中東の香港と呼ばれる事があるらしいが、その理由がわかった気がしたのは川を渡る船に乗った時だ。
船に乗るのは1回30円ぐらい。オールドタウンの物価はまだまだ日本に比べて安い。
手すりも何もないボートに座って川を渡っていると、川岸に船で暮らす人々を見る事が出来る。
新しい高層ビルが立ち並ぶ中、昔と変わらず川の上で質素な生活を送る人々の風景は香港と似ているかもしれない。
 
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経済の発展がすさまじいドバイの中で、最下層に居る人々はたぶん出稼ぎに来た外国人労働者だ。
最下層にいたとしても、たくさんの金を稼ぐ事を夢みてドバイに来た外国人の目は輝いてさえ見える。オイルマネーで潤うアラブ人と出稼ぎに来た外国人労働者との格差は何十年かかっても埋められないほど大きいが、不思議と不幸な感じはしない。

日本では格差が広がる事を懸念する声が多いが、格差が広がると何が悪くなるのかは議論されていない。下層に落ちてしまう人はプライドが許さないのだろうか。
格差が悪いという意見は、人よりもたくさん金を持つ事は悪く、路上生活するほど金が無い事も悪い事のように聞こえる。

資本主義の中で、全ての人が平等な国などあり得ない。

たくさんの国を見てきたが、格差が広がる事は悪とは言い切れない気がする。
人類の歴史を見ても、格差の無い文化などはなかったと言っていい。

問題は格差が広がる事ではなく、下層に居る人も高層に居る人も幸せに生きる事が出来るかどうかだ。

全ての人を平等に扱おうとする国民総中流の日本社会で、リストラされて職を失った中年男性が死ぬか路上生活をするかを選択しなくてはいけない現実を誰も見ようとはしていない。もし、そこに中流よりも下の生活レベルが存在し、生活レベルを下げる事でそれなりに幸せに暮らせる事が出来るなら、どれだけの人が助かったのだろうか。

ドバイで最安のホテルに泊まり、一番安い飯を食いながら思った。
この街では、バックパッカーの自分は最下層に位置するのだ。

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by 村越 慎司

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